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老犬のケアについて

老犬と暮らしていくためには色々注意しなければいけないことがあります。

まずは老犬がかかりやすい病気もあるため定期的な健康診断、病気の知識、老後の上手な過ごし方を知っておくことが大切です。また、動物の状態や家庭環境などを考えながら、その子にあったケアや介護をしてあげられるよう心がけましょう。老後を上手に暮らすための知識をいくつかご紹介させていただきます。

 

暑さ&寒さ対策

年老いてくると体温調節機能が低下してくるため体温管理が重要です。体温の上がりすぎや下がりすぎには充分に気をつけてください。寝ていることが多くなったワンちゃん・外飼いのワンちゃんは特に注意が必要となります。
暑さ冷房がきいていると涼しく快適に過ごせるように思われがちですが、冷たい空気は下にいくため人間が心地いいと感じる温度は、背が低く床面近くにいるワンちゃんにとっては冷えすぎてしまう可能性があります。布団や毛布をかけてあげたり、湯たんぽを用いたりして暖かくしてあげましょう。
また、真夏の日中に閉めきった部屋にいると熱中症になる危険もあります。日陰で風通しが良い所に移動し、保冷剤などで冷やしてあげましょう。

 

危険物
年老いてくると嗅覚や視力が衰えてくるため、食べ物ではないものを間違えて食べてしまうという危険があります。口にして困るもの・危険なものは届かない所へ置きましょう。

 

トイレ
老化が進んでくると排泄のコントロールが困難になって失敗が増えます。行きたくなったらすぐ行けるように、部屋の何箇所かに置いてあげるなどトイレの場所を工夫しましょう。
自分で排泄ができなくなってしまったワンちゃんには、膀胱を手で押して尿を出してあげる必要があります。これは難しく危険も伴うので、獣医師の指導のもと行いましょう。

 


すべりやすく踏ん張りのきかないフローリングやタイルなどの床は足腰の負担になり、関節を痛めてしまうことがあります。じゅうたんを敷く・爪を切る・足の裏の毛を刈る(肉球に毛がかからないように)など、すべりにくい環境を作りましょう。

 

段差
老化が進んでくると運動能力や視力が衰えてくるため段差につまずきやすくなります。
また、筋力も衰えてくるため階段の上り下りは大変危険です。階段を踏み外してしまい、落下して脱臼や骨折する恐れもあります。そのため階段は避けるようにしましょう。

 

旋回運動
老化が進んでくると、さまざまな原因から旋回運動が起こることがあります。視力や嗅覚が衰えているため、旋回運動が始まるといろいろな所で顔や体をぶつけたり、倒れて立てなくなったりしてケガをしてしまうこともあります。ケ−ジの側面・家具の角などぶつかりそうな所は、低反発マットやコーナーガードなどを置いたり、他にも小型犬であれば子供用のプールをケ−ジ代わりに使用したり、中型犬〜大型犬であればお風呂マットや低反発マットを丸くつなぎ合わせてケ−ジを作るという方法もあります。

 

褥創(じょくそう) [ 床ずれ ]
長期にわたり同じ体勢でいたり寝たきりになった場合、体と床との接触により局所で血行が悪くなり皮膚が壊死してしまうことです。一度褥創ができてしまうと完全に治すことが難しいため予防が大切です。寝たきりになってしまった時は、定期的な体位変換が必要となりますが、低反発マットを用いることにより頻度を減らすことも可能になります。布団や低反発マットなどで寝床を軟らかくし、股など擦れてしまう所にクッションやタオルを挟んであげ、褥創になりにくい環境を作りましょう。褥創が出来てしまった場合は管理・治療が必要となってくるため来院をおすすめします。

 

皮膚炎
よだれやお水を飲んだ後・ご飯を食べた後に口周りの汚れなどを放っておくと皮膚炎をおこしてしまうのでしっかりと拭き取ってあげ清潔に保つように心がけましょう。
他にも毛玉やもつれも皮膚炎の原因になるため、寝たきりになっても日頃からブラッシングなど被毛の手入れをしてあげましょう。


在宅医療について

この数年来、ワンちゃんネコちゃんの平均寿命がどんどん延びてきています。
しかし、それにともない高齢期の医療や終末期の医療の問題も多くでてきました。できる限り長い時間家族のそばにいて治療を受けたい、できる限り後悔のない時間を共に過ごしたい。そして、できることなら家族の見守るなか自宅で看取りたいという気持ちは動物も人も全く同じだと思います。

 

天王寺どうぶつ病院では、長生きしてくれたワンちゃんネコちゃんたちが、できるだけ心安らぐ環境で治療を受けられるように点滴機材や酸素ハウスの貸し出しなど、ご家族の皆様と協力していきたいと思っています。何でもお気軽にご相談ください。