長年可愛がっていた子が「ガン」であると知った時は、目の前が真っ暗となり、その精神的苦痛は計り知れないものです。もう治らないと思い、治療をあきらめてしまう飼い主様もいらっしゃると思います。しかし、獣医腫瘍学は急速に進歩しており、ガン(悪性腫瘍)といってもその種類や進行度によって治る(根治できる)「ガン」もたくさんあります。また治らない「ガン」でも、治療することにより症状を緩和できる場合があります。
【 腫瘍ってなに? 】
体の表面や体内にできるいわゆる"しこり"を腫瘤と呼びます。その中で、細菌などの感染によるものや、正常な組織が増殖したもの(過形成・肥厚など)など以外のしこりを腫瘍と呼びます。
腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍(癌・肉腫など)があります。良性腫瘍では、転移することがなく、大きくなる速度もゆっくりです。しかし、悪性腫瘍では、一般に増大速度が速く、周囲の組織に浸潤し、肺などに転移することもあります。
このため、治療を開始する前にしっかりとした診断を行うことが重要です。
【 腫瘍の診断はどうやってするの? 】
【 ガンに対する治療にはなにがあるの? 】
ガンに対する治療法には、1.外科療法、2. 化学療法、3. 放射線療法などがあります。それぞれの治療法にも利点・欠点があります。また、腫瘍の種類によって効果のある治療法が異なってきます。腫瘍の種類や進行度に応じて様々な治療法をご提案させて頂きます。
腫瘍外科実績
乳腺腫瘍切除、皮膚腫瘍切除(肥満細胞腫等)、胸腔内腫瘍切除(肺・胸腺等)、 口腔内腫瘍切除(舌腫瘍、上顎・下顎切除等)、腹腔内腫瘍切除(肝臓・脾臓・腎臓、胃、腸管等)、膀胱腫瘍切除、甲状腺腫瘍切除、断脚術、断指術、直腸腫瘍切除、副腎腫瘍切除、腸骨下リンパ節廓清、腫瘍切除後の皮弁術など
一番大切なターミナルケア
最後になりますが、ガンである、と宣告された場合のご家族のショックはいかばかりだろうと、本当に心が痛みます。しかし、現実を受け入れ、今後どのように過ごしていくのか、厳しい現実ですが考えなくてはいけません。
ガンの種類によっても、また同じガンでも、動物達個々の生命力と申しますか、寿命は異なります。中央生存期間などのデータはありますが、一概に皆がそういうわけではありません。ガンの動物達と接している中、経過が比較的良好なケースに動物の性格やご家族の明るさが影響するかもしれないと感じる時があります。
医学的な話ではなくなってしまいますが、ずっと悲しんで動物と接するのではなく、事実を受け止め、今までと変わらず明るく接することは、過ごし方として重要かもしれません。
痛みや苦しさが伴うタイプのガンでは、ご家庭での看病もつらいものとなるかもしれませんが、悪性腫瘍が成長しにくくする様なお食事を作ってあげたり、腫瘍の増殖を抑えるお薬、サプリメントを使ったりとしてあげられる事はたくさんあります。
悪性腫瘍ができたのは飼い主様の愛情により長生きした証しでもあるのです。ワンちゃんネコちゃん、飼い主様、そして微力ながら我々スタッフで、力を合わせて快適な生活が送れるよう一緒にがんばりましょう!